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「オリンピック候補会場の放射線を測る市民グループ」の測定活動の趣旨と目的

オリンピック候補会場の放射線を測る市民グループ 2013年6月発行

2020年開催の夏季オリンピック・パラリンピックには、東京、マドリッド、イスタンブールの3都市が候補地として残り、今年9月7日のIOC総会で開催都市が決まります。IOCはすでに3都市の現地調査を終えて、評価報告書をIOCの委員に配布しました。

しかし、他の2都市と違い、東京は福島第一原発の事故により放射性物質で汚染されていますが、IOCの評価報告書には、東京開催の場合の放射線被ばくの問題は扱われていません。また、そもそも招致委員会が予定施設の放射線量を測定し、その結果をIOCの調査団に伝えたとも思われません。

オリンピック・パラリンピックには、全世界から青少年を中心とした選手たちが参加します。また、世界中から集まる観客の中にも多くの青少年がいることになるでしょう。幼い子どもたち、若い人びとほど放射線による被ばくの悪影響が大きいことは周知の事実です。

特に子どもたちや若者たちの放射線被ばくをできるだけ回避させることは、政府や自治体の最優先の責務ですが、オリンピック開催のためにそれが無視されてはなりません。政府や東京都が被ばく可能性のデータをIOCに、ひいては世界中の選手や観客たちに知らせていないとすれば、予定されている会場の周辺に住む私たち市民が自分の手で測定し、それを知らせることは、オリンピック東京開催に賛成する人であれ、反対する人であれ、私たちの道義的責任だと考えます。

<活動の経過>

以上の趣旨で、“オリンピック候補会場の放射線を測ろう”という呼びかけが口コミやメールで広がり、3月30日に「相談会」が開かれました。その際の参加者は14人でしたが、日を追うごとに増え続け、最終的には40人を超えました。参加者の職業や家庭の事情、年齢層などはまちまちで、初めて出会った人も少なくありません。

一回だけの相談会で、4月4日から実測がスタート。以後、5月18日までに14日の日数と述べ92人の参加で全37施設の測定が終わりました(招致委員会が公表している施設数は39ですが、うち2施設は北海道と宮城県にあるので除外し、近隣の埼玉県と神奈川県の施設は測定)。

測定方法は、複数の機種を使い、中間的な値を出した測定器による3回の測定値を平均しました。測定に要した時間は、1施設・建設予定地につき約60~90分でした。空間線量が比較的に高い地点では土壌を採取し、そのベクレル値も専門機関で計測しました。日本では、放射性セシウムは福島事故以前にはほぼ存在していませんでした。

<測定結果についての所見>

私たちは、予定施設の大半が東京東部、特に東京湾の埋め立て地(お台場や夢の島など)に集中していることから、比較的に高い放射線量が計測されると予想していましたが、その通りでした。しかし、やや内陸部の調布・府中や埼玉(朝霞、和光、浦和)でも、かなり高い線量が測定されました。一部には、環境省が「除染基準」としている“0.23μSv/h”(距離1mで)に近似する線量が測定された地点もあります。これらについては、添付のデータをご覧ください。

このことは、東京・関東の放射性物質汚染が広範に広がっており、その中で“ホットスポット”が各所に散在していること、原発事故から2年以上経っても、放射線量はさほど減っていないことを示しています。この現実を皆さんに、そして世界中の人びとに知ってもらいたいと思います。

放射性物質の大量拡散というチェルノブイリに続く大惨事の後、いまだに帰郷できない10万人を超える被災地の人々、放射性物質に怯えながらも一日も早く健康で安全な生活を望んでいる関東中央部および南部の1千万人以上の人々、特に小さな子供を持つ人々の気持ちも同じだと思います。

このような測定結果を世界中に知らせなければならないのは残念ですが、あくまで『放射性物質汚染地域からの警告』としてご理解いただければ幸いです。

以上

測定結果のPDFについて

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