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2020年オリンピックの東京開催決定にあたっての声明

2013年9月8日

オリンピック候補会場の放射線を測る会

2013年9月7日(日本時間8日)、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会は、2020年の夏季オリンピック開催都市として、東京を選びました。

私たち市民有志は、2011年3月11日の東日本大震災をきっかけとする、東京電力福島第一原子力発電所での過酷事故により、核燃料が溶融し、放出された放射性物質が、原発周辺に留まらず広く拡散し、東京とその周辺も少なからぬ汚染をこうむっている現実を、日本国内はもとより世界の人びとに広く知っていただいた上で、オリンピック開催の是非を判断していただきたいと考え、自分たちの測定による結果を公表し、IOCにも送りました。しかし、それらの資料が公式に検討された形跡はないことを残念に思います。

開催都市決定の投票に先立って行われたプレゼンテーションでは、特に、原発事故と安全性についての質問に対し、安倍晋三首相は、「汚染水は0.3平方キロの範囲に完全にブロックされている。事故は完全にコントロール下にある」、「放射性物質の数値は最大でも世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインの500分の1だ。日本の食品や水の安全基準は世界で最も厳しい。被ばく線量は、この基準の100分の1だ」、「安全であることは私が保障する」と断言しました。しかし、詳細な土壌調査の結果などが示されることはなく、日本の食品の放射線基準が緩いことは周知の事実で、これら「安全」という主張には根拠がありません。明白なウソです。

原発の施設そのものからの放射性物質の拡散と、保管タンクからの汚染水の漏出、そして地下水や海洋への流入は毎日、この瞬間にも続いています。すでに広範囲に拡散した各種の放射性物質は、今も田畑や住宅地、学校、保育園、公園などに降り積もっており、山林からは風雨によって再び町や村に「補給」され続けており、川を経て海へと流れ、溜まり続けています。原発事故現場では、溶融した核燃料の状態も把握されておらず、汚染水対策が未だに不確定な計画にすぎないことは、世界中の人びとに周知の事実です。

猪瀬直樹東京都知事や招致委理事長の竹田恒和氏は、「都内の放射線量は、ロンドン、パリ、ニューヨークなどと変わらない」、「東京は福島から250キロも離れており、安全だ」と、会見で発言しました。しかし、世界の大都市のスタジアム前の広場などで、人びとの足下から任意に採取した土壌から、1キログラム当たり300ベクレル、500ベクレル、800ベクレルというセシウムが検出されることが、はたして世界の常態なのでしょうか?

日本のプレゼンでは「震災復興」が強調されましたが、これでは、東京の汚染の実態を隠しただけでなく、「被災地の復興」は、たんにオリンピックを呼び込むための口実にすぎないと告白したようなものです。また、 オリンピックに向けてすでに4000億円もの資金を準備し、足りなければ政府が支援(税金を投入)すると言いますが、少なくともその分、震災復興には資金も、したがって物資も労働力も回らないことになります。菅義偉官房長官は、「オリンピック開催はまちがいなく経済効果がある」と言いましたが、東京とゼネコンと関連事業にカネが回るのであって、被災地にどのような経済効果があるのでしょうか。

そもそも、オリンピックを招致しようという潤沢な東京都の財政の一部には、東京電力の大株主としての配当金が長年にわたり積み立てられているのです。その株主としての、今回の事故に対する責任も、未だに問われておりません。

まして、高線量地帯からの子どもたちの避難も未だに行われず、汚染地域に放置されたままです。こうした人権に関わる状況の改善を、国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏からも強く勧告されていますが、政府は無視し続けています。

こうした現状を、IOCの委員のみなさんは、どれだけ御存じだったのでしょうか?

私たちの測定活動で明らかになったオリンピック候補会場の放射線は、世界の選手や観客たちに、不必要な追加的被ばくをもたらすことになります。土壌などからの外部被ばくとして、ホコリの吸入による内部被ばくとして、また、国際的にも緩い基準・規制の食品からの内部被ばくとして。

以上のことから、私たちは、私たちの測定結果を世界の人びとに知らせ続ける必要があると考えます。東京開催が決まったからといって、放射能汚染が消えるわけではなく、自宅にも仕事にも戻れずに避難先を転々としている被災者の物心両面にわたる困難が改善するわけでもありません。

なお、現在は汚染水の漏えい問題に耳目が集まっていますが、炉心が溶融した1~3号機では今も放射性物質の崩壊が続いています。政府と東電のロードマップでは、燃料堆積物の取り出しは2020年からとされていますが、その間も、燃料堆積物は原子炉を突き破り、建屋コンクリートを浸食し、崩壊熱を出しながら地中へと潜り続けていくのです。また、もし福島第一原発を大きな地震が襲えば、4号機建屋の使用済み核燃料プールが破壊され、冷却が不可能となり、これまで以上の大惨事になる危険は今も存続しています。このような現在の日本は、「安心だ」として国際的なスポーツ祭典を招くことができるような状況にあるのでしょうか。

私たちはさらに、政府と東京都および各自治体に対して、国内のすべての地域、水域、動植物および食品における放射線量を厳密に測定し続け、それを世界に公表し続けること、住民および滞在者の、外部および内部被ばくの危険性を限りなくゼロに近づける努力を怠らないことを、強く求めます。

そして、以上のことについて、時には私たちとともに当局に働きかけてくださることを、また、当局が、真実を調査し公表する自由な市民の活動や言論を妨害、抑圧し、隠蔽するようなことのないよう、厳しい目で見守り続けてくださるよう、ここに、国内および世界の市民のみなさんに呼びかけます。

IOC国際オリンピック委員会の「意見送信フォーム」(英語)に、今からでも貴方の意見を送ってください!

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